鮨シャリ炊飯の基本

すしシャリ炊飯基本編

電気釜・ガス釜で
鮨シャリを
炊く時のご注意。

お米をどんな用途でも安定的に炊くために必要なのは吸水とスタート時の水温です。

お米が土壌から吸い上げたアミノ酸は、酵素の働きで増加しオネバの中に含まれます。
そのオネバが保水膜となりご飯に保水と光沢を与えます。(化粧品にも使われるセラミド成分)
精白米の時点での水分は14~15%、吸水をしたお米の水分は25%前後、炊飯されたお米は一般のご飯で60~65%が水です。
ただし水を吸っていないでんぷんをいくら加熱しても米は炭素になるだけで水がなければ澱粉はαでんぷんになりません。
吸水していないお米をフライパンに入れ2倍量の水を入れても強火で炊けば、芯まで十分に糊化しないのでパエリヤのように芯が残ります。

すしシャリは、ご飯の旨味を出しながら水を少なく粘りを抑えて炊かなくてはいけない

という、ぎりぎりの炊飯バランスを取らないといけません。合わせ酢を芯まで入れる為には、芯まで熱が入りでんぷんが膨張していないと合わせ酢が入り込みません。
相反する要素の中で炊飯をして合わせ酢を加えシャリきりする為、安定的に添加剤を使用せず、一年中シャリの状態をキープするのは非常に難しい事です。
お客様の鮨店で炊き上がり時の水分を計測すると50~55%ですが、硬さの好みや寝かせる時間・温度帯・嗜好も様々な為、答えは1つではありません。

外的要因

物理的要因から天候、食品工場でも無いとコントロール不可の要因迄様々
釜がフラットになっていない、というのは論外ですが厨房での炊飯釜の位置と吸排気により熱が逃げない、湿度がこもる等の厨房環境。天候による湿度と気圧の変化により沸点や蒸発量が異なってしまう。
高層階、地下でのテナント等、外的な環境でも日々炊飯条件が異なってしまいますが、可能な範囲で対策をするしかございません。
なるべく現場に入らせて頂き、炊かせて頂くなどしないと要因を特定出来ない事も多々あります。

合わせ酢の要因

炊飯時の塩、昆布、酢、砂糖の調味料系統の投入等やシャリ切時の合わせ酢・・・
酢飯のいくつかの論文で炊飯時に上記の各調味料毎に別々に添加して炊飯を行い機械計測したデータがあります。 調味料によりご飯の味以外の何に影響するかと云うと塩は吸水を遅くする。水以外の物は全て不純物と同じで吸水は純水より遅くなり過熱に影響を与えます。 砂糖はご飯の保水性が高くなる=(表面は糖の種類にもよりますが光沢やべとつきも与えます。)酢はご飯の表面に粘りを与える。という結果が出ています。
合わせ酢とシャリの温度、酢の酸度や種類等多く要因が絡み合う為、表面の粘りも酸の立ち方も米の輪郭の出方も1つだけの答えではありません。

品種の特性や粒の大きさ・栽培の仕方により吸水速度・火の入る速度・粘りの出方等も異なります。基本的には圧力を掛けない限りにおいて、洗米時に吸水された水とプラス1合150gの米に135~140cc 程度の水は最低無いと炊飯した米の全体に水が周り火が入っている状態には炊き上がりません。「芯をわざと残す、圧力釜を使う、特殊な品種の場合は異なります」
洗米の仕方ひとつでも吸水量は変わってしまいます。

当然米屋がそれぞれの米質や産地の癖、その年の米質を見極められた上で精米技術を持っている事が前提です。
資格だけ持っていて理屈だけ知っていても現場では通用しないのは料理人さんと一緒です。そして10美味しいと思う好みが違うように、業者とお店とも相性が大切だと思っております。

全て完璧な状況で炊飯をする事は出来ないと思います。それでも少しでもお客様に喜ばれるもの自身の納得できるものを食べて頂きたいと思うのは料理人なら当然です。
自分が20代の時料理を断念しなくてはならない経験から、素人の米屋となり様々な経験から東京駅構内に羽釜炊きのおむすび店を8年以上営業し、現在も自店の厨房や得意先で様々な炊飯器具での炊飯や実験等々を行っております。
当店がこのお米が良い羽釜炊き方が良いと云う事では無く、料理人さんやお店が目指す理想のシャリやご飯に近づける為に、お米の提供だけではなく様々なサポートする事を「栽培から炊飯迄係わる米職人」としての生業としております。

「5ツ星お米マイスターprof.」「米・食味鑑定士」「全国米穀協会おこめアドバイザー」「食生活アドバイザー」「雑穀エキスパート」
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